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Spotify新機能「Music + Talk」の魅力とは? リスナー/制作者の視点で考えた

Spotifyの音楽とトークをミックスした新しいポッドキャストサービス「Music + Talk」

追加料金なしで楽しめる新しいポッドキャストサービス

スポティファイは2019年に、同社のビジネス戦略として音楽に限らず、良質な“オーディオストリーミングコンテンツ全般”をユーザーに提供する仕組みを作り、オーディオファーストをスローガンに掲げる企業として成長を遂げることを宣言しました。2020年6月29日から日本でも利用可能になった無料のポッドキャスト配信プラットフォーム「Anchor(アンカー)」もその一環です。

Music + Talkは2020年10月からアメリカなど海外市場で先行スタートした、音楽とトークコンテンツをまとめたリスニング体験です。今回、日本を含む15の国と地域で新たに聴けるようになりました。

Spotifyのユーザーは有料のプレミアムプラン、無料プランを問わず追加料金なしで楽しめます。再生はモバイル、またはデスクトップのSpotifyアプリから可能。なお、ブラウザ再生には対応していません。

Spotifyのメニューには、新たにMusic + Talkのコーナーが加わっています。8月19日の公開当日には16のコンテンツが公開されました。筆者もその中から、小泉今日子とYOUがK-POPについて語る「小泉今日子とYOUのK-POP PARTY」や、若手アーティストのNOAが自分の作品の魅力を紹介する「NOA Music + Talk」などの番組を聴いてみました。

SpotifyのアプリでMusic + Talkの番組を開くと、曲とトークがセグメントに分かれて表示されます。好みの楽曲が見つかれば「ハートマーク」か「…」をタップして、メニューから自分のプレイリストにお気に入りとして追加したり、楽曲の詳しい情報を参照できます。

Music + Talkの番組内で配信されている楽曲は、有料のプレミアムプランのユーザーであればフルサイズのリスニングが楽しめます。タレントのトークが洗練されているので、20分ほどの長さの番組でも飽きることなく楽しめました。

無料プランで利用する場合は1曲あたり30秒間の再生制限がかかります。また、無料プランのユーザーは、スマホのモバイルアプリで聴く場合はプレイリストの楽曲がシャッフル再生になります。

Music + Talkの番組はトークの合間に並ぶ楽曲が30秒間のバージョンながらもシャッフルされることなく、クリエイターが意図した構成に従って順番通りに再生されます。好みにあう番組はフォローするとよいでしょう。

利用できるデータ容量が少なめの通信プランを契約している場合は、Music + Talkのポッドキャストコンテンツを端末にダウンロードしてオフラインでも聴けるので安心です。

クリエイター側の魅力は「Spotifyの曲が自由に使えること」

クリエイターがSpotifyに公開する番組は、スポティファイが開発・提供する無料のホスティングプラットフォーム、Anchorをベースに制作します。Anchorの利用にはSpotifyとは別のユーザーアカウントを登録する必要がありますが、登録は誰でも無料で行えます。

Anchorの左側のメニューには新しく「Music」のパネルが加わりました。クリエイターはAnchorを使ってトークを録音して、合間にSpotifyで配信されている7,000万以上のタイトルから自由に楽曲を選んで挿入可能。ソフトウェアの特別な知識がなくても、オリジナルのポッドキャスト番組を誰でも簡単に制作できます。何より自分でフリーの音楽素材を探さなくても、Spotifyの音楽アーカイブから自由に楽曲を選んで番組を作れる魅力は大きいでしょう。

Music + Talkのコンテンツとして配信できる番組の長さには制限が設けられていないようです。ただし、楽曲を使用する際にいくつかのルールがあります。ひとつは、使用する音楽の長さが変更できません。もうひとつは、エフェクトをかけたり、トークのバックにBGMとして流すような“ラジオ番組的”な使い方も許可されていません。つまり、Spotifyで配信されている楽曲に手を加えることなく「そのまま使う」ことが求められます。

クリエイターの視点から一歩引いて見ると、Music + TalkはSpotifyに従来からある音楽プレイリストの作成・共有機能に、トークを追加してポッドキャスト番組に仕立てて配信できるサービスと捉えることもできます。

Music + Talkが日本で成功するための条件

日本に比べると、海外では米国を中心に多くのユーザーがポッドキャストを楽しんでいるようです。放送時間が決まっているラジオの生放送番組に対して、ポッドキャストはユーザーが自分の都合に合わせて好きなときにまとめ聴きもできるオンデマンド性の高さが人気を博しているといいます。

スポティファイが海外で実施したアンケートの結果によると、コロナ禍によるパンデミックの中、自由に外出したり人と会話を交わせない環境にあって、トーク中心のポッドキャストの番組がリスナーに安心感を与え、心の支えにもなっていることがわかったそうです。米国で先に始まったMusic + Talkの番組の中では、俳優のマシュー・マコノヒーがホストを務める番組「GREENLIGHTS」やミュージックレーベルがヒットチューンを届ける音楽番組などが人気を集めています。

Spotify新機能「Music + Talk」の魅力とは? リスナー/制作者の視点で考えた

ポッドキャストサービスはスポティファイのライバルも注力しています。筆者は今後もスポティファイのMusic + Talkがライバルに打ち勝って成長していくために、人気番組を育てていくことのほかにも、いくつかの大事な課題があると考えます。

ひとつは、リスナーからクリエイターへのフィードバックができるインタラクティブ要素が欲しいところ。番組を制作・配信する側にもよい緊張感が生まれ、名番組が作られるきっかけにもなりそうです。

スポティファイでは今後Anchorを通じて、クリエイターが制作に要する時間とエネルギーの負担を減らし、資金面での活路も開けるように収益化の仕組みも整えたい、としています。既に海外の一部地域では、Anchorに登録するクリエイターが自分の番組から収益を得られるようなマネタイズの仕組みも導入されているようです。

日本の場合は、Music + Talkを立ち上げたばかりということもあり、まだクリエイターにとっての収益化の仕組み作りはこれからという段階です。創作活動の対価はマネタイゼーションだけとは限りませんが、クリエイターがモチベーションを高め、持続できるようにする何らかのシステムは導入すべきだと思います。

スポティファイでは、これからポッドキャストの番組制作のノウハウを学びたいと考えているクリエイターを対象にした制作活動を支援するプログラムも立ち上げるそうです。良質なコンテンツをSpotifyだけでなく、外部の優良なポッドキャスト番組を紹介するプラットフォームをつないで、より多くのリスナーに届けられる仕組みも必要になるでしょう。

同社やライバルが動き始めたことで、今後日本でもポッドキャストへの期待が高まってくるのか、注目です。

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