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新型コロナウイルスのオミクロン株は「げっ歯類」の間で進化した可能性があると研究者が主張

×サイエンス

新型コロナウイルスの新たな変異種として知られる「B.1.1.529(オミクロン株)」は、ヒト細胞への感染で重要なウイルス表面のスパイクタンパク質30以上の突然変異が見られるなど、異例ともいえる変異の多さから強く警戒されています。そんなオミクロン株が変異を獲得した場所について、一部の研究者は「人間ではなくげっ歯類など他の動物種の間で進化したのではないか」と主張しています。Where did ‘weird’ Omicron come from? | Science | AAAShttps://www.science.org/content/article/where-did-weird-omicron-comeSome experts believe Omicron variant may have evolved in an animal hosthttps://www.statnews.com/2021/12/02/some-experts-suggest-omicron-variant-may-have-evolved-in-an-animal-host/Omicron variant may have evolved in rats, one theory says | Live Sciencehttps://www.livescience.com/omicron-origin-theory-rodents新型コロナウイルスの新たな変異株として注目されているオミクロン株は、2021年11月に南アフリカからWHOに報告されましたが、これは南アフリカで突然変異が発生したことを意味するものではありません。実際に、オランダナイジェリアなどで南アフリカによる報告の前に採取されたサンプルからオミクロン株が検出されており、報告以前から各国にオミクロン株が広がっていた可能性が指摘されています。オミクロン株に含まれる変異は非常に多く、最も近い変異株を特定することも困難であることから、以前のアルファ株やデルタ株と並行して進化を遂げていたように見えるとのこと。スイス・ベルン大学のウイルス学者であるEmma Hodcroft氏は、「私は(オミクロン株が他の変異株から分岐した時期が)2020年半ばにさかのぼると思います」と述べています。

ここで問題になるのが、「オミクロン株は一体どこで進化したのか?」という点です。これほど多くの変異を獲得するまで人間によって検出されなかったという点は、オミクロン株が頻繁にウイルスが分析される一般的な人口集団ではなく、特殊な環境において進化を遂げた可能性を示唆しています。考えられる説明の1つとしては、「ほとんどウイルスの分析が行われない集団内で感染を繰り返して進化した」という仮説が挙げられます。ドイツ・ベルリン医科大学のウイルス学者であるChristian Drosten氏は、「これは多くのシーケンシングが行われている南アフリカではなく、冬の流行の間にアフリカ南部のどこかで進化したと思います」と主張。一方、イギリス・エディンバラ大学の分子進化学教授であるAndrew Rambaut氏は、この種のウイルスは他の場所で見つかっておらず、長期間にわたって隔絶状態で感染が繰り返される場所が地球上にあるとは考えにくいと述べました。

別の説明としては、「慢性的に新型コロナウイルスが存在する免疫が抑制されたCOVID-19患者の体内で進化した」という仮説があります。過去の事例からも、がんの治療などで免疫が抑制されている患者の体内において新型コロナウイルスが長期間存在し、体内で変異を遂げることがわかっています。しかし、インフルエンザやその他感染症の免疫抑制患者の体内で見られるウイルス変異には、「人から人への感染力を低下させる変異」も付随しており、オミクロン株のように感染性を高める変異は起きにくいとのこと。「隔絶された人間集団での変異」「免疫抑制患者の体内における変異」とは異なる仮説として提唱されているのが、「オミクロン株はげっ歯類など人間以外の動物種の間で進化したのではないか」とする仮説です。アメリカ・スクリプス研究所の感染症研究者であるKristian Andersen氏は、「オミクロン株が2020年の時点で他の変異株から分岐していた」という点が、人間以外の動物種でオミクロン株が進化を遂げたという仮説で説明できるとしています。新型コロナウイルスは人間以外の動物種にも感染するウイルスであることがわかっており、実際にイヌやネコゴリラなどに感染することが知られているほか、ミンクから発見された突然変異種が人に感染した事例も報告されています。新型コロナウイルスの突然変異種がミンクからヒトに感染、ミンク1700万匹が殺処分へ - GIGAZINE

アメリカ・テュレーン大学医学部の微生物学教授であるRobert Garry氏は、オミクロン株に生じた突然変異のうち7つが、マウスやラットなどのげっ歯類への感染を可能にするように見えると指摘。本当にオミクロン株がげっ歯類の間で進化したかどうかは不明ですが、中国・武漢で発見された元のウイルスから変異が生じ、げっ歯類の間で感染と変異が繰り返された可能性はあるとのこと。ウイルスの進化を研究する多くの研究者らは、Anderson氏の「オミクロン株がげっ歯類の間で進化した」とする仮説は不可能ではないとして、記事作成時点では可能性を除外するべきではないと考えています。アメリカ・アリゾナ大学の進化生物学者であるMike Worobey氏は、「(オミクロン株について)興味深いのは、それが(従来の変異株と)どれほどクレイジーに違っているのかという点です」とコメント。Worobey氏はオミクロン株が免疫抑制患者において進化したとする仮説を支持していたものの、2020年11月から2021年1月にかけて野生のオジロジカで新型コロナウイルスが流行していた事例もあることから、Anderson氏の仮説を再考しているそうです。カナダ・サスカチュワン大学のコロナウイルス研究者であるAngela Rasmussen氏は、オミクロン株がげっ歯類の間で進化したとする仮説を支持しています。「このウイルスが長い間独立した進化の道をたどってきたことは誰の目にも明らかであり、非常に驚くべきことだと思います。これは私にとって、(オミクロン株がげっ歯類で進化したとする)このアイデアがあり得るものだという考えをもたらします」と、Rasmussen氏は述べました。

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新型コロナウイルスのオミクロン株は「げっ歯類」の間で進化した可能性があると研究者が主張

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